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日本の都市伝説まとめ20選|昭和・ネット発・禁忌系

更新: 霧島 玲奈(きりしま れいな)
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日本の都市伝説まとめ20選|昭和・ネット発・禁忌系

口裂け女・花子さん・きさらぎ駅など日本の都市伝説20件以上を発祥年代・地域・カテゴリ別に整理。民俗学者の分析を交えた早見表と、妖怪・怪談との違いを体系的に解説します。

日本の都市伝説は、学校の怪談やネット掲示板で知った話だけでは見えにくい、長い変遷を持っています。
この記事では、口承で広がった昔の怪異から、メディアで全国化した話、ネット発でリアルタイムに拡散した事例までを、年代順に整理します。
読後には、どの伝説がどの時代に生まれ、なぜ多くの人に語られたのかをつかめるはずです。

この記事でわかること

  • 日本の都市伝説が学術的に整理された背景
  • 戦後日本の都市伝説を3段階で見る視点
  • 代表的な都市伝説の初出年代と広がり方
  • 禁忌系・場所系・UMA系伝説が生まれた経緯
  • 都市伝説と社会不安の関係

日本の都市伝説とは|怪談・学校の怪談との違いと5系統

日本の都市伝説は、怪談よりも「いまの社会で誰が、どこで、どう語ったか」が前に出る怪異です。
学校の怪談はその中でも、教室・トイレ・廊下のような閉じた空間に収まったサブカテゴリとして読むと整理しやすいでしょう。
ここでは、古くからの口承、メディアで全国化した話、ネット発の即時拡散型までを、発祥年代と場所で見渡せる形にします。

都市伝説・怪談・妖怪——3つの概念の違い

妖怪は、土地に根づいた存在や現象として語られやすく、怪談は「怖い話」という語り口そのものに重心があります。
都市伝説はそこに加えて、友人の友人のような距離感で伝わる点が特徴で、昭和の口承から平成のメディア化、2000年代以降のネット拡散までをまたいで広がりました。
だからこそ、同じ「怖い話」でも、由来をたどると見えてくる層が違うのです。

都市伝説名発祥年代発生地カテゴリ主な特徴
口裂け女1978〜1979年岐阜県昭和王道全国に急拡散した代表格
テケテケ1980〜90年代北海道室蘭説昭和王道踏切事故由来の身体欠損型
赤い部屋1990年代非公表昭和王道見ると死ぬ系の定番
人面犬1980年代非公表昭和王道動物型の異形ブームを象徴
コックリさん1970〜80年代非公表昭和王道占い遊びと怪異が接続
トイレの花子さん1940年代岩手県北上市学校怪談学校トイレの代表的怪異
口裂け女の学校版1980年代全国学校怪談児童の口伝で広がった亜種
人体模型1990年代学校施設内学校怪談理科室・夜間の定番舞台
音楽室のベートーヴェン像1990年代全国学校怪談像が動く系の変奏
きさらぎ駅2004年インターネット掲示板ネット発異界駅へ迷い込む体験談
コトリバコ2005年6月6日インターネット掲示板ネット発呪物の語りと家系譚
八尺様2008年8月26日インターネット掲示板ネット発高身長の女性型存在
異世界エレベーター2009年ごろ韓国発→日本流入ネット発手順型の異界移動談
洒落怖2000年8月2日インターネット掲示板ネット発怪談群を束ねた母体
リゾートバイト2000年代インターネット掲示板ネット発バイト先怪異の定番枠
青木ヶ原樹海の心霊スポット化1960年山梨県・青木ヶ原樹海禁忌系場所自体が忌避対象になる
きりきり舞いの家1980年代非公表禁忌系住宅空間に侵入する恐怖
死後の世界へ通じる道1990年代非公表禁忌系境界越えの語りが中心
かごめかごめ昭和期までに定着全国禁忌系歌詞解釈が不穏さを増幅
クッシー1972年11月北海道・屈斜路湖UMA系湖の巨大生物として話題化
ヒバゴン1970年代広島県比婆郡UMA系類人猿型の集団目撃が有名
ツチノコ昭和後期全国UMA系目撃談が量産された定番UMA

都市伝説は、怪談のように語られることもありますが、読者が注目すべきは「どの時代の不安が形になったか」です。
口裂け女のような昭和王道は街頭での噂の速さが核になり、きさらぎ駅のようなネット発は投稿日時そのものが起点になります。
発生地と年代を並べると、話の性質が一気に立ち上がるはずです。

「学校の怪談」は都市伝説のサブカテゴリ

学校の怪談は、都市伝説の中でも舞台が限定されたものとして整理すると理解しやすいです。
教室、保健室、音楽室、トイレのように、子どもが日常的に出入りする場所ほど噂は定着しやすく、怖さも共有されやすくなります。
『トイレの花子さん』が長く生き残ったのは、場所が具体的で、体験談に置き換えやすかったからでしょう。

昭和の都市伝説が街全体の空気を揺らしたのに対し、学校の怪談は生活圏をもっと細かく切り取ります。
授業中に見かける理科室の人体模型、放課後の音楽室、夜の廊下といった限定空間は、子どもにとって日常と異界の境目になりやすい。
だからこそ、学校の怪談は都市伝説の入口として機能し、後年のネット怪談にもつながっていきます。

本記事が扱う5系統の分類フレーム

話の出どころではなく「どの型で広がったか」を見るために、5系統で整理します。
昭和王道、学校怪談、ネット発、禁忌系、UMA系に分けると、同じ怪異でも伝わり方と残り方の違いが見えます。
個人的には、この分け方がいちばん実用的です。
噂の発火点を見失いにくいからです。

1つ目は昭和王道で、口承が主役です。
口裂け女やテケテケのように、1970〜90年代の社会不安と相性がよく、短いフレーズで広がりました。
2つ目の学校怪談は、花子さん系のように場面が固定され、子ども同士の反復で強く残ります。
3つ目のネット発は、きさらぎ駅や八尺様のように初出日時が追いやすく、リアルタイム性が魅力です。
4つ目の禁忌系は、青木ヶ原樹海のように場所や行為そのものが近づきにくさを生みます。
5つ目のUMA系は、クッシーやヒバゴンのように目撃談が集まり、未確認のまま定着していく型です。

💡 Tip

この記事では、初出の年代だけでなく、発生地と伝播経路を見比べると理解が進みます。怖さの正体が「怪異」ではなく「広がり方」にある話も多いからです。

口裂け女・花子さん・テケテケ——昭和の王道都市伝説

口裂け女は「街の噂が新聞を動かし、新聞が噂を加速させる」典型として見ると輪郭がはっきりします。
岐阜県八百津町説を軸に、1978年12月の噂発生から1979年1月26日の『岐阜日日新聞』報道へつながり、そこから全国へ広がった流れは、昭和の口承伝播型を代表する出来事でした。
読者にとって面白いのは、怪異そのものよりも、短い言い回しが地域差を越えて一気に共有された点だろう。

口裂け女——1979年に全国を席巻した戦後最大規模の集団恐慌

岐阜で生まれた噂が全国区になるまでの速さは、口裂け女の本質です。
1978年12月に岐阜県八百津町説の噂が立ち、翌1979年1月26日に『岐阜日日新聞』が報じると、学校と商店街の両方で話題が反復され、子どもが子どもへ、親が親へと伝える経路ができました。
新聞は火種を消すどころか、話題の「公認」に近い役割を果たした。
ここに、昭和の都市伝説がもつ増幅の構造がある。

口裂け女が怖かったのは、顔の異形そのものより「通学路にいるかもしれない」という日常侵食にあります。
マスクの女性、学校帰りの路地、夕方の暗がりといった具体的な場面がすぐ浮かぶため、聞いた側は自分の生活圏に置き換えてしまう。
全国拡散の背景には、短く覚えやすい言い回しと、当時の社会不安が重なったことが大きい。

トイレの花子さん——閉鎖空間と孤立恐怖が生んだ昭和の学校怪談

『トイレの花子さん』の最古記録が1948年ごろの岩手県北上市にさかのぼるのは、学校怪談がいかに早く「場所に貼り付く」かを示しています。
花子さんは人物設定よりも、個室のドア、呼びかけ、返事の有無といった手順で恐怖を作るため、世代が変わっても再生産しやすい。
1990年代の映画化で全国化したのも、既に各地にあった断片的な噂を、ひとつの名前に束ね直したからだと見てよい。

この伝説の核は、閉鎖空間でひとりになる不安です。
小学校のトイレは、昼間でも音が吸われ、廊下の気配が遠のきます。
そこに「花子さん」という固有名が入ると、単なる怖い場所ではなく、待ち受ける相手のいる場所へ変わる。
昭和後期の学校怪談が強かった理由は、こうした孤立感を子ども同士で共有できたからだ。

テケテケ——上半身の移動怪異が示す「断絶の恐怖」

テケテケは、見た目のショックよりも「途中で切断されたものがなお動く」ことに恐怖の芯があります。
北海道室蘭説を含む発祥諸説があり、昭和40〜50年代に広まった口承の流れの中で、1980〜90年代にかけて輪郭が固まりました。
踏切事故説が有力とされるのは、鉄道事故という現実の断絶が、そのまま怪異の形に転写されているからでしょう。

下半身を失い、上半身だけで移動するという設定は、身体の連続性が壊れた状態を突きつけます。
口裂け女が「顔の境界」を、花子さんが「閉鎖空間」を怖がらせるなら、テケテケは「つながっているはずのものが切れている」感覚を前面に出す。
昭和の王道都市伝説の中でも、もっとも露骨に断絶の恐怖を可視化した存在だ。

学校の怪談系都市伝説

学校の怪談は、教室や廊下のような閉鎖空間に、集団で同じ話を共有する仕組みが重なって定着します。
誰が見たかより「みんなが知っている」ことが怖さを強めるため、七不思議は地域差があっても似た骨格で残るのです。
ここでは、その典型構造と、言葉を知るだけで巻き込まれる呪い、音楽室という舞台が生む不気味さを分けて見ると、学校という場所に怪談が貼り付く理由が見えてきます。

七不思議の型——全国の小学校に共通する5つのモチーフ

学校七不思議は、細部が違っても「夜」「閉鎖空間」「反復される気配」を軸にまとまります。
動く人形、夜の音楽室、動く骨格標本、誰もいないのに鳴る音、そしてトイレや階段のような境界場所が、全国の小学校で繰り返し語られるのは偶然ではありません。
子ども同士で簡単に再現できるからこそ、話は一気に増殖する。
怖いのは怪異そのものより、教室で一度広がると止まらない伝播の速さだ。

実際、七不思議は「1つの学校に7つある」という数字のまとまりが強い。
数が固定されると、まだ埋まっていない空白に新しい怪談を差し込みやすくなり、学年ごとに別の話が付け足される。
ここが面白いところです。
怪談が増えるたびに体系が壊れるのではなく、むしろ7という枠があることで、各地の学校は自分たちなりの怖い場所を埋めていくのです。

紫鏡・合わせ鏡——「言葉/知識を持つだけで呪われる」系の構造

『紫鏡』は、「紫の鏡」という言葉を20歳まで覚えていると不幸になる、という伝承が核です。
ここで怖いのは、行動ではなく記憶そのものが禁忌になる点でしょう。
言ってしまえば、知ってしまった時点で半分巻き込まれる設計になっている。
子どもが口にするだけで意味が増幅するため、友達に教えたくなる衝動と、教えるほど危うくなる構造がきれいに噛み合います。

『合わせ鏡』も同じく、知識が恐怖を呼び込む型です。
午前0時に鏡を向かい合わせる儀式は、無限に続く像の奥に何かが入り込むという視覚的な恐怖を作り、さらに「4枚目に死者の顔が映る」という数字の呪いで輪郭が固まる。
何をするかが単純だからこそ、友人同士で試したくなる。
だが、その単純さが儀式性を生み、ふざけ半分の遊びを本気の怪談へ変えてしまうのだ。

音楽室の怪——芸術家肖像画と楽器が生む不気味な組み合わせ

音楽室が怖がられるのは、そこにベートーベンの肖像画や、使われていない楽器、動く標本のような「静かなはずの物」が集まるからです。
演奏しない時間の音楽室は、普段の授業空間よりも音の気配が薄く、逆に小さな物音が目立つ。
そこへ肖像画の視線や、譜面台、ピアノの蓋が重なると、ただの教室が「見られている場所」に変わるのです。

学校の怪談で音楽室が繰り返し選ばれるのは、芸術教育の場なのに静寂が濃すぎるからでしょう。
楽器は本来鳴るものですが、放課後や夜には沈黙している。
その落差が、人形や標本が動く話と相性よく結びつく。
読者が思い浮かべるべきは、演奏のない部屋に残るベートーベンの絵と、埃をかぶったオルガンの並びです。
そこに少しでも違和感が生まれると、もう怪談は完成している。

きさらぎ駅・八尺様・異世界エレベーター——ネット発の新時代都市伝説

『洒落怖』を母体にしたネット怪談は、2000年以降の日本で「初出日時が追える都市伝説」として独立した流れをつくりました。
読者にとっての利点は、いつ・どこで・どの板から広がったかを手がかりに、話の構造を読み分けられることです。
ここでは、きさらぎ駅、八尺様、コトリバコ、異世界エレベーターを軸に、ネット発の怪談がなぜ強く残るのかを見ていきます。

洒落怖スレという揺り籠——2000年から始まったネット怪談生態系

『洒落怖』の起点は、2000年8月2日の『2ch オカルト板』にある。
ここで重要なのは、単なる掲示板の開始ではなく、断片的な怖い話が「スレッド単位で蓄積される場」ができたことです。
個々の怪談が独立して消えるのではなく、読者が次々に追記し、反応し、再話することで、作品群として育つ土壌が整ったのだ。

この環境が生んだのは、作者不明の短編が連結していく生態系です。
後述する『コトリバコ』が2005年6月6日に『洒落怖スレ99』へ現れ、さらに『八尺様』が2008年8月26日の『洒落怖スレ196』で広がった流れを見ると、掲示板が単なる保管庫ではなく、怪談の編集室として機能していたことがわかります。
読者は「次に何が来るか」を待つ形で参加できる。
ここが昭和の口承と決定的に違う点でしょう。

きさらぎ駅・八尺様——異界に「誤接続」する恐怖の構造

『きさらぎ駅』の初出は、2004年1月8日の『2ch オカルト板』です。
存在しない電車の駅に迷い込む話が強く残るのは、怪異が外から襲ってくるのではなく、いつもの交通網に“誤接続”するからだ。
駅名、電車、帰宅の導線という日常語だけで構成されているため、読者は自分の移動経路へそのまま重ねてしまう。
異界が遠い山奥ではなく、乗り換えの延長にあると感じさせる点が、2000年代の都市伝説らしい。

『八尺様』は2008年8月26日、『洒落怖スレ196』が初出です。
身長8尺(約242cm)の女性型怪異が、田舎の祖父宅という閉じた生活圏に現れる構図は、都市の匿名性ではなく、親族の家という逃げにくい空間を使っています。
しかも、姿の輪郭は単純なのに、見た者にじわじわ近づくという語りが効く。
数値を伴う高さがあるぶん、想像の足場が固まるのも強い。
怖さの設計が明快なので、口伝よりもネットの反復に向いているのです。

怪談名初出舞台怖さの核
きさらぎ駅2004年1月8日 『2ch オカルト板』電車・駅日常交通の誤接続
八尺様2008年8月26日 『洒落怖スレ196』田舎の祖父宅242cmの異形と接近
コトリバコ2005年6月6日 『洒落怖スレ99』呪物・家系譚家に持ち込まれる禁忌

異世界エレベーター——「手順を踏めば再現できる」参加型都市伝説の登場

『異世界エレベーター』は韓国発で、2009年ごろに日本へ流入した。
ここで新しいのは、怖い話を読むだけでなく、読者が「手順を踏めば再現できる」と感じる点にあります。
エレベーターという誰でも知る装置に、順番や選択肢を重ねると、怪異は受け身の物語から、参加型の儀式へ変わる。
都市伝説が掲示板文化から動画時代へ移る直前の空気をよく映している。

『コトリバコ』の2005年6月6日という初出も、この流れの中で見逃せません。
呪物そのものが怖いのではなく、家系や土地に結びついた禁忌として語られるため、読者は物の形より「家に入れた瞬間の破綻」を想像する。
『きさらぎ駅』や『八尺様』が異界への遭遇を描くなら、『コトリバコ』は持ち込まれた時点で日常が壊れる話だ。
ネット発の都市伝説が強いのは、怪異の見た目より、日常への混ざり方を精密に設計しているからでしょう。

全国のやってはいけない場所・禁忌系・UMA系

青木ヶ原樹海や夜の橋、そして『クッシー』『ヒバゴン』のようなUMAは、場所そのものが物語を吸い寄せるタイプの怪異です。
地理的な特異性、移動中の不安、廃墟や禁足地の気配が重なると、実際の地形や出来事に伝説が貼り付いていく。
読者にとっては、地名を手がかりに怖さの構造を追えるのが面白いところでしょう。

青木ヶ原樹海——実在の地理的特異性が都市伝説化するメカニズム

『青木ヶ原樹海』が心霊スポットとして定着した背景には、864年の貞観噴火で形成されたという土地の成り立ちがある。
そこに松本清張以降の語りが重なり、地理の特殊性が「迷う」「戻れない」「方向感覚が狂う」といった物語へ変換された。
地中磁鉄鉱による磁気異常で方位磁針が狂うという実際の現象は、曖昧な恐怖を支えるのに十分だったのです。
実際の地形に説明できる要素があるからこそ、逆に噂は強くなる。

このタイプの怪異は、何かを“見た”というより、土地に入った瞬間から判断力が鈍る感覚を前面に出します。
『青木ヶ原樹海』は、現地の特殊性と「禁忌に触れた感」が結びついた好例で、ただ怖がるだけでなく、なぜ人がそこで不安を増幅させるのかまで見通しやすい。
地図で位置を確認できる地名が、そのまま都市伝説の引き金になるわけです。

首なしライダー・橋の禁忌——移動と死が交差する場所型伝承

『首なしライダー』系の話が橋と相性がいいのは、橋がもともと「渡る」「戻る」「落ちる」の境界だからです。
夜の橋は、車やバイクの移動音だけが目立ち、視界の端に人影があるだけで記憶に残る。
そこへ首なしのような身体欠損のイメージが重なると、走行中の速度感と死の気配が同じ場面に入ってくるため、噂が一気に具体化するのです。
橋の禁忌伝承は、移動そのものを危険視する感覚の言い換えでもある。

『佐渡島』や『軍艦島』のような廃墟や隔絶地も、同じく「行ってはいけない」「近づくと何か起こる」という感覚を生みます。
人の生活が薄れた場所ほど、空白に意味を読み込みやすい。
夜の橋、島、廃墟は、いずれも日常の導線から外れた場所として語られるため、禁忌系の伝承が貼り付きやすいのだ。

💡 Tip

こうした場所型伝承は、地名検索との相性がよいです。怖い話として読むだけでなく、なぜその場所が選ばれたのかを見ると、噂の設計図が見えてきます。

クッシー・ヒバゴン——UMAが妖怪と都市伝説の境界を横断する

『クッシー』は、北海道の『屈斜路湖』を舞台に、1972年11月から目撃報告が出始めたことで広く知られるようになった。
とくに1973年8月には、中学生40人が遠足中に集団目撃したとされ、話が一気に全国化した。
湖という広い水面は、何かがいると感じさせる余白を作りやすく、複数人の目撃がそろうと、個人談ではなく地域の話として定着する。
未確認のままでも、人数が増えるだけで説得力の輪郭は変わるのです。

『ヒバゴン』は、1970年代に広島県の『比婆山』で多発した類人猿型UMAの目撃報告が核です。
山の中で語られる猿人型の存在は、妖怪の山岳イメージと近く、UMAでありながら民話的な顔つきも持つ。
ここが面白い点で、UMAは科学的な未確認対象であるのに、語り口はしばしば妖怪に寄っていく。
『クッシー』も『ヒバゴン』も、境界の曖昧さをそのまま残したからこそ、今も地名とセットで呼ばれ続けている。

都市伝説 早見表

口裂け女、花子さん、テケテケは、都市伝説を語るときにまず押さえたい三本柱です。
どれも「どこで生まれ、どう広がったか」を追うと、怖さの正体が見えます。
名前だけ知っている読者ほど、発祥地や拡散経路を並べて読む価値があるでしょう。

都市伝説20選 早見表

都市伝説名発祥年代発生地・起点広がり方の特徴
口裂け女1978〜1979年岐阜県八百津町説新聞報道で全国化
トイレの花子さん1948年ごろ岩手県北上市学校怪談として定着
テケテケ1980〜90年代北海道室蘭説昭和40〜50年代の口承拡散
赤い部屋1990年代非公表口伝と再話で拡散
人面犬1980年代非公表動物型怪談として流行
コックリさん1970〜80年代非公表遊びと怪異が接続
口裂け女の学校版1980年代全国児童の口伝で派生
人体模型1990年代学校施設内理科室怪談として定着
音楽室のベートーヴェン像1990年代全国肖像画の不気味さが核
きさらぎ駅2004年インターネット掲示板投稿日時が起点
コトリバコ2005年6月6日インターネット掲示板呪物と家系譚で拡散
八尺様2008年8月26日インターネット掲示板数値つき異形で定着
異世界エレベーター2009年ごろ韓国発→日本流入手順型で参加しやすい
洒落怖2000年8月2日インターネット掲示板怪談群の母体
リゾートバイト2000年代インターネット掲示板仕事場怪異として流行
青木ヶ原樹海の心霊スポット化1960年山梨県・青木ヶ原樹海場所そのものが忌避対象
きりきり舞いの家1980年代非公表住宅空間への侵入型
死後の世界へ通じる道1990年代非公表境界越えの語り
かごめかごめ昭和期までに定着全国歌詞解釈が不穏さを増幅
クッシー1972年11月北海道・屈斜路湖集団目撃で全国化
ヒバゴン1970年代広島県比婆郡類人猿型の連続目撃

口裂け女は、1978年12月に岐阜で噂が生まれ、1979年1月26日に『岐阜日日新聞』が報じたことで一気に広がりました。
岐阜県八百津町説が語り継がれるのは、地域の小さな違和感が、新聞という媒介で全国の学校へ飛び火したからです。
通学路、マスク、夕方の路地という具体像がそろうため、読者は自分の生活に重ねやすい。
全国拡散の過程そのものが、この怪談の怖さになっています。

花子さんの最古記録は1948年ごろの岩手県北上市の小学校で、学校怪談の中でもかなり早い部類です。
1990年代の映画化で全国化したのは、もともと各地に散っていた「トイレにいる何か」の噂を、ひとつの名前にまとめ直したからでしょう。
個室のドアをノックする、返事を聞く、といった手順が単純なので、子ども同士で真似しやすい。
場所が固定されているぶん、世代が変わっても話が残りやすいのです。

テケテケは、北海道室蘭説を含む発祥諸説があり、昭和40〜50年代の口承を背景に、1980〜90年代に広まりました。
とくに踏切事故説が有力とされるのは、走行中に切断された身体という現実の断絶が、そのまま怪異の設定へ移っているからです。
上半身だけが移動するという像は、見た瞬間に理解できる強さがある。
口裂け女が顔の境界、花子さんが閉鎖空間なら、テケテケは身体の連続性そのものを壊す話です。

都市伝説と妖怪・怪談の境界|現代の口承文化として

3〜4文で、この記事は日本の都市伝説を「発祥年代×発生地×カテゴリ」で横断整理し、読者が最初に知りたい違いをすぐ見分けられるようにします。
昭和王道、学校怪談、ネット発、禁忌系、UMA系を並べることで、怖さの種類だけでなく広がり方の違いも一目でつかめる構成です。
初見の人はもちろん、名前は知っていても出どころが曖昧な人ほど読みやすいはずです。
読むほどに、どの話がどの時代の不安を映したのかが見えてきます。

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